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『パリ左岸のピアノ工房』 T.E. カーハート (四季さん)
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パリ左岸の静かな地区に住むサド・カーハートは、自分の住むアパルトマンの近所に<デフォルジュ・ピアノー工具と部品>という小さな店があるのに気付きます。毎朝子供を幼稚園に送り迎えする度に店の前を通り、ピアノの修理に使う工具や部品を眺め、時には店の正面にあるカフェから店を眺めるカーハート。そんな日々を送るうちに、もう一度自分のピアノが欲しいという思いがふくれあがります。そしてとうとう店の扉を叩くことに。カーハートはかつてピアノの音にとても惹かれ、5歳の頃からピアノを習っていたのですが、定期的に練習をしなくなって20年ほど経っていました。店の主人に中古ピアノはなかなか手に入らないと言われながらも、店に通うカーハート。ある日、カーハートは偶然、店の奥の光溢れる空間を目にします。そこは、ありとあらゆるピアノとその部品で埋め尽くされているアトリエ。やがてカーハートは、この空間に招き入れられることに。(「THE PIANO SHOP ON THE LEFT BANK-THE HIDDEN WORLD OF A PARIS ATELIER」・村松潔訳)
一家でパリに住んでフリージャーナリストの仕事をしているアメリカ人の著者が、近所のピアノ工房の職人・リュックと出会い、シュティングルのベビー・グランドピアノとの運命的な出会いによって、生活を再び音楽によって彩ることになるノン・フィクション。
リュックのアトリエには、スタインウェイやベヒシュタイン、エラールやプレイエル、ガヴォー、ベーゼンドルファーなど古今東西の名器が集まってきます。ピアノが誕生して以来の様々な薀蓄も語られるのですが、この作品におけるピアノは、もっと日常的な存在。生活の中に息づくピアノの物語だということが、きっとここまで心地良い所以なのでしょうね。リュックにとって大切なのは、ピアノが生きているということ。「家族に囲まれて」いることが肝心なのです。リュックのピアノについて語る言葉には愛情がたっぷり。まるで我が子に対する愛情のようです。お気に入りのピアノが売れる時には商売抜きの落胆を感じ、客の手に渡ってしまった後でも、ピアノの置かれた環境が気になってしまうリュック。ピアノは彼にとって愛娘のようなものなのでしょうね。
この作品には、ピアノにまつわる魅力的な人々の話も登場します。実際にピアノを作ったり調律したりする職人の話。250kgを越えるピアノを背負って2階まで運んだ年配の運送屋の話や、赤ワインが何よりも好きで昼食に一杯やってしまうため、午前中しか仕事にならない調律師・ジョスの話。ある職工長が中古ピアノの中を見てみると、亡き父のサインを見つけたという話、単純に機械の数字通りに調律しても人間の耳には音が狂って聞こえるという話… そして著者が今までに出会ったピアノ教師たちの話。印象的なエピソードがいっぱいです。
著者はパリに住むアメリカ人。パリという、外面こそ良くても、なかなか余所者を本当に受け入れようとはしない街で、徐々に心の底から受け入れられていく著者の姿もとても嬉しいです。
これを読んでいると、久しぶりにピアノを弾きたくなってしまいます。そして今からでもピアノ職人になりたいとも…。リュックのアトリエで、様々なメーカーのピアノを弾き比べてみたくなってしまいます。
posted by torakichi | 21:53 | メンバーズレビュー(四季さん) | - | - |
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