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『千年の祈り』 イーエン・リー (はぴさん)
この作品のTBはこちらの記事にお願いします。
元記事はこちら

以前yom yomで初めて読んだ時に衝撃を受け、もっとじっくり味わいたいと思っていました。

本書はデビュー短篇集。

10の短篇が収められていますが、どれも本当に粒ぞろい。

なんだか長篇を読んでいる気持ちになってしまうのが不思議です。

イーユン・リーさん、読ませる作家ですね〜やっぱり素晴らしいと再確認しました。

どちらかというと爽やかで明るい読後感のある作品を好む私ですが、この短篇集は明るさは全くない(むしろ悲劇が多い)といっていいほどで結末もすっきりしないものがほとんど。

それなのにグイグイ惹き込まれてしまう不思議な魅力がありました。

どの主人公も重く厳しい現実を受け入れて生きていくしかないという覚悟というかあきらめの感情に支配されている感じがします。



「黄昏」「死を正しく語るには」「柿たち」表題作の「千年の祈り」が特に印象に残りました。



「死を正しく語るには」で登場する核開発研究所の施設。

著者は実際そこで育ったと訳者あとがきで知り興味深く思いました。



中国という国に関しては一般的な知識が少しあるくらいでたいして知らない私です。

特に現代の中国については恥ずかしながらこの小説を読んで学ばせてもらった感じもありました。

その他アジアの国々もそうですが、同じアジア圏についてこれからはもっと関心を持ちたいと思いました。




著者は1972年北京生まれ、北京大学卒業後1996年に渡米し大学院で免疫学を学びます。

しかし、2000年に自分は本当は作家になりたいのだと突然気づき転身(すごい!)

現在はアメリカで夫と息子2人と暮らし作家活動を続けているそうです。



このデビュー短篇集で第1回フランク・オコナー国際短篇賞受賞し話題の人に。

(ちなみに第2回の受賞者は村上春樹さんだそうです)



同じく訳者あとがきで

>ウィリアム・トレヴァーやアリス・マンローなど、短篇の名手として名高いベテランの作品を含む六十を超える候補作の中から、まったくの新人であり、しかも英語を母語としない彼女の作品が選ばれた



著者の筆力がどれほど優れていて将来を期待されていたのかが分かるエピソードだと思いました。





英語を使って中国の小説を書くということ。

母国語で書けばいいんじゃないかと単純に考えてしまいますが、

>「中国語で書くときは自己検閲して」しまい「書けなかった」、だから英語という「新たに使える言語が見つかり、幸運だと思う」



という理由はなるほどと思いました。



言語についての著者の考えは表題作の「千年の祈り」にちょっとつながるような気もします。




「千年の祈り」は映画化も決定しているそうでこちらも楽しみ♪



イーユン・リーさん、同世代なのもあってますます注目したい作家になりました。

日本で出版されているのは小説はまだこれだけのようなので、次回作が翻訳されるのが待ち遠しいです。

翻訳小説の面白さにもはまりつつある私。

アジアの人が書いた小説をもっと読みたいという気持ちも出てきました。
posted by torakichi | 16:31 | メンバーズレビュー(はぴさん) | - | - |
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